お寺や神社にある「ハート型」の文様って?猪目(いのめ)には魔除けの意味が込められていた!

 

こんにちは、信州さーもん(@goshumemo)です。

猪目(いのめ)とは何かご存知でしょうか?お寺や神社などの建物にある「ハート型」です。

「なぜハートなんだろう?」と気にされる方も多いはず。実は、ハートではなくイノシシの目、つまり「猪目」と呼ばれる文様なのです。なぜイノシシの目なのか、どんな意味や由来があるのかについて解説と考察をしていこうと思います。

 

「猪目」の読み方や意味は?

ハート型ではなく「猪目(いのめ)」

これは日本古来から伝わる「猪目(いのめ)」という文様です。字のごとくイノシシの目を意味しています。そして猪目は古来より魔除けのために使われているのです。

古墳時代から遺跡・遺物に見られる「猪目」

参考画像に本物のイノシシさん(フリー画像です)。ハートに、見えるかな?笑

獣の力で魔除けのために用いられているのでは?

「猪目」は獣である猪の目をモチーフにすることで、魔除けになっているという説があります。確かに猪の迫力があれば魔除けにもなりそう。しかしなぜ猪?少し納得がいかなかったので、もう少し調べてみました。

 

島根県に「見たら死ぬ!」と言われる猪目洞窟がある

猪目という文様の歴史は古く、古墳などにもよく使用されていました。「猪目」といえば島根県出雲市猪目町にある猪目洞窟が思い浮かびます。「夢でさえ見たら死ぬ!」といわれる黄泉への入り口

ちなみに猪目洞窟からは縄文時代の土器や弥生時代の人骨が出土しているそうです。フリー画像がないので写真を載せることはできませんが、こちらもあまりハートには見えません(笑)でも猪の目には似ているかな?と思いました。気になる方は調べてみてください。

さーもん
「猪目」と「猪目洞窟」、何か関係があるのかも?

 

「猪目」は古墳時代の倒卵形鐔(とうらんがたつば)でも見られる!

倒卵型鐔(とうらんがたつば)とは、日本独特の鐔で6〜7世紀の古墳から出土しています。(画像の刀は違いますが、こんな感じ)鐔の部分が猪目をしており、当時から魔除けとして活用されていたものと推測されます。

 

「鬼瓦」と同じくメデューサがルーツの魔除けなのでは?

鬼瓦は恐ろしい鬼の姿をあえてつけることで、魔除け厄除けの効果があると言われています。これはシリアにあるパルミア神殿が「目が合うと石になる」と言われるメデューサを厄除けとして設置したことがルーツだと言われています。

そこで「見たら死ぬ」と言われる猪目洞窟の形を入れ、鬼瓦と共にメデューサと同じ役割を果たしたのでは?と考えました。または魔除けの意味はあるものの、日本独自の文化として受け継がれてきたもの?あくまで私の想像ですが・・・。(猪は怖いので魔除けに!という説よりはそれっぽい気がする)

「猪目は奈良時代に中国から伝わった」という文献もあれば「古墳時代の刀にも同じ文様が見られるのでルーツは非常に古い」という文献もありました。諸説あるので真相は分かりませんが、「魔除けのため」というのは間違いないと思います。

 

「恐ろしいもの」を祀って災いを防ぐ不思議な文化

日本では昔から「忌むべきもの」や「恐ろしいもの」を祀ったり信仰したりすることで災いを免れようとする変わった文化があります。「タタリガミ」という言葉もありますが、災いが起こると「タタリ」と呼んで崇めることで防災を祈る。

災害の多い日本ならではの発想かもしれません。今では「学問の神」と呼ばれる菅原道真公や、商売繁盛のご利益があるとされる恵比寿様なんかも元は不幸な人生から災いをもたらすと言われていました。

鬼瓦や猪目にもそうした信仰のひとつなのでしょうか。恐ろしいものをまつり上げて、あえて縁起の良いものに変える!日本人ってなんてポジティブなんでしょう。

 

お寺や神社などで探して見てください

f:id:goshumemo:20170427201739j:plain

こちらは上田市真田町の「長谷寺(ちょうこくじ)」。よく見ると真ん中に猪目が見えます!

[kanren postid=”229″]

f:id:goshumemo:20170427201844j:plain

同じく上田市真田町の山家神社。これも猪目なのかな?

[kanren postid=”198″]

f:id:goshumemo:20170427202004j:plain

そしてこちらは上田市の信綱寺。ベンチの足に猪目の穴が!

 

猪目 まとめ

f:id:goshumemo:20170507151412j:plain

調べながら記事を書いたので書き始めから公開まですごく長くなりました。「ハートかわいい!なんだろうこれ?」という無知な状態からは少し脱することができたかと思います。

詳しく調べた文献や本を見つけることができなかったので、参考になるものなどご存知でしたらぜひ教えてください!「猪目」の謎、まだまだ奥が深そうです。

ちなみに御朱印初心者におすすめな本は御朱印初心者におすすめ本レビュー14選こちらをどうぞ。

そもそも御朱印ってなに?って方は御朱印とは?もらい方や参拝マナーを解説もご覧ください。

 

この記事を書いた人

アバター画像

信州さーもん

長野県観光メディア「Skima信州(@skima_shinshu )」神社・お寺と御朱印ブログ「ごしゅメモ(http://goshumemo.com )」「旅する鮭朝」とかやってる平成生まれの魚。兵庫県出身信州在住。一本桜、宿場と街道、滝、地名、温泉、御朱印、ダムカード。長野の観光に関するお仕事、お待ちしています!